【意外と知らない仏教語⑤】実はおめでたい意味だった「未曾有(みぞう)」の由来

普段何気なく使っている言葉が、実は仏教に由来する「仏教語」だということを知っている方は意外と少ないのではな いでしょうか。暮らしの中にとけ込んでいる「仏教語」の代表的な言葉をクイズ形式でご紹介します。

Q:「大袈裟(おおげさ)」という言葉が生まれた仏教的な背景は?

【選択肢】

① 僧侶が大きな袈裟を身につけるようになったため

②「大仏でも着れるような、大きな袈裟を持ってくる」と宣伝していた僧侶が、実際には小さな袈裟しか持ってこれなかったという逸話から

③ 偽僧侶が着る袈裟が、昔は決まって大きなものが多かったため

【解説】大袈裟とは、実際よりも大変なようにいうさま、誇大、おおぎょうを意味する言葉です。袈裟は、僧が衣の上につけている法衣であり、大袈裟は文字通り、大きな袈裟を示します。お釈迦さまの時代は、捨てられている布切れを拾い、 つなぎ合わせて衣を作っていました。その頃の衣は粗末なものでしたが、徐々に袈裟は華美で装飾的なものとなり、儀式的に着用されるようになったのです。僧が華美で大きな袈裟を掛けている様子から、おおぎょうなことを意味する ようになりました。

【答えは①】

Q:「未曾有(みぞう)」という言葉の仏教的な由来は?

【選択肢】

①いまだかつて誰も体験したことがないもの

②及びもつかない恐ろしい出来事

③ 驚くほどに、すぐれたすばらしいもの

【解説】「未曾有の事件」というと未だ嘗て起こったことがない事件を意味しますが、未曾有は、サンスクリット語で「アドゥブタ」と言い、インドの戯曲や美学書において、詩における風味・情緒の一つとして「びっくりした」という意味の言葉でし た。これを漢文に翻訳したときに「未だ嘗て有らざる」と訳したそうで、つまり未曾有は漢訳仏典の造語だったと言わ れています。『新仏教語散歩』には、「未曾有は殊勝(ことにすぐれた)」とも訳され、素晴らしいこと、めでたいことを表す言葉だったそうです。

【答えは③】

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