お寺が、社会とつながる時代。築地本願寺をはじめ、浄土真宗本願寺派が取り組むさまざまな社会活動をご紹介します。今回は、いま世界中で注目が集まる「SDGs(エス・ディー・ジーズ)」を紹介します。
※築地本願寺は持続可能な開発目標(SDGs)を支援しています。
SDGsとは?
「How dare you!(どうしてそんなことができるんですか!)」
昨年9月にニューヨークの国連本部で行われた「気候行動サミット」で、スウェーデンの環境活動家、グレタ・トゥーンベリさん(16=当時)が、各国首脳の前で行ったスピーチの一節は、世界中の大人たちにショックを与えました。彼女が言うように、これまでの私たちの社会は目先の経済発展のみに意識を向け、環境や人権をおろそかにしたために、若者世代にそのつけを回していました。そうではなく、「貧困に終止符を打ち、地球を保護し、すべての人が平和と豊かさを享受できるようにすることをめざしている」のが、2015年の国連サミットで採択されたのがSDGs(SustainableDevelopmentGoals=持続可能な開発目標)で、この達成が今、危機に瀕しています。
17のゴール、169のターゲット
SDGsは地球環境問題を含め、2030年までに達成することをめざした17のゴール、169のターゲットから構成され、地球上の「誰一人取り残さない」ことを誓った、途上国だけでなく、先進国を含む全世界の国や地域の共通の目標です。上記にある17の色に分けられたパネルの図をご覧になったことがある方も多いかも知れません。それぞれ貧困、教育、ジェンダー、気候変動、不平等、平和など、非常に幅広い、しかしあと10年で達成しなければならないという強い決意を持って臨まなければ、地球が将来、人の住めない場所になるかも知れないのです。
「足元からはじめる」
SDGsは、国や法人なども取り組むべき課題ですが、個人レベルでもできることは少なくありません。例えば昨今話題に上がることも多い海洋ごみ問題。レジ袋を使わない、あるいはペットボトルの飲料を買うのをやめたという人もいます。
築地本願寺職員の道教泰子さんもマイバックやマイボトルを持ち歩くひとり。「もともともったいないと思う性分でしたが、エコになるならと思うと少し気分もいいですね」と話し、愛用のボトルを手に、次の会議に向かいました。(編集委員・星顕雄)
浄土真宗本願寺派の取り組み
浄土真宗本願寺派では2017年11月、築地本願寺で行われた「次世代リーダーズサミット」において、国連の広報担当者や専門家を招いてシンポジウムを開催し、SDGsについて学びを深めました。その中でご門主は、「念仏者の生き方と現代的課題」と題したスピーチを行い、本願寺派が従来より進めている『平和問題』・『環境問題』・『人権問題』などと絡めてSDGsに強い関心を示されました。続けて2018年の年頭の辞、御正忌報恩講でのご法話に始まり、現在に至るまで、ご門主は機会あるごとにご法話やスピーチの中で、SDGsに触れられ、その推進に力を注がれています。本山・本願寺の取り組み浄土真宗本願派の本山、京都市の本願寺(西本願寺)でもこうした動きに呼応して、昨年の御正忌報恩講期間中の2019年1月13日に、子ども食堂「みんなの笑顔食堂」を本格オープンしました。「家でも学校でもなく、子どもたちがほっこり笑顔でいられる場所」をめざし、月に1度のペースで開催しています。
築地本願寺の取り組み
2019年の盆踊り大会でリユース食器を導入。今年度からは公用車に電気自動車を導入し、境内に充電スペースを設置しました。また、東京都墨田区の慈光院では、無料の寺子屋「お寺の学び舎ー慈光院教室ー」を2018年から開催。